たすけて

小学校の頃男子に囲まれて無口気持ち悪いって言われて、上手く喋れないのは気持ち悪いのだと悟った。
中学は私立の女子校に唯一合格して通ったけど、一人でお弁当を食べるときの回りの視線が冷たかった。
高校の頃もう学校に行きたくなくて、薬を大量に飲んで死のうとしたけど死ねなくて起きて病院にいて、失敗したなと思った。
18歳で自殺した南条あやになりたかったのに、と。16歳の時の出来事だった。受験も友達も全部消えてしまえと思った。勿論不細工だから恋愛などはおこがましいと分かっていた。
不細工だからこんな人生なのだと思って、顔が可愛くなれば人生楽しくなるのかもしれないと思って、高須クリニックにカウンセリングに行った。お金がたまったら絶対にまた来ようと思った。
18歳の誕生日当日、大学受験が終わった直後に私はキャバクラの面接を受けて働くことになった。まだ高校生だった。
時給900円のファミレスと時給800円の工場では整形費用は貯まらない。自分を殺して、明るい子を演じて、お金を作ろうと思った。
援助交際すれば?と言われるかもしれないけど処女だったので諦めた。お酒を飲んで喋るだけで時給3000円だよーと聞かれて半信半疑でキャバクラの面接に行ったのだ。上下つけまつげ、濃いアイライン。当時は158センチ45キロで太ってはいなかったし、18歳という年齢からか、面接には落ちなかった。とにかく必死に明るく取り繕った。そして、高校生であることは隠した。そんのこんなで処女キャバクラ嬢の完成。
拒食の時に30キロ代で、黒板の日直の欄に骨川と書かれて笑われたことを思い出した。みんなが笑うから、私も笑った。何も面白くないのに。先生だけが怒ってくれた。援助交際で捕まった先生。
のちに過食して53キロまでいくんだけどね。吐いても楽になれないんだけどね。コンプレックスの貧乳が太るだけでEカップ以上になるんだ、と容姿コンプレックスはあったものの、少しだけ体型に関しては報われた気がした。ガリガリだった私に、胸がある、と。
そんな私は現在25歳で、大学も卒業してしまった。並みに会話は出来るようになったし、並み以上に今は稼げる自信がある。
なのにどうしてこんなに悲しいのだろう。なにがこんなに悲しいの。
身分相応以上の幸せを望んだからだろうか。違う、普通でいいけど、普通がもう身分相応ではないのだ。
昔、お前は一生処女かヤリマンになるかのどちらかだと言われた。
その言葉は、数年後に正解となって現実になる。
人と関わるのが嫌いで、処女をこじらせた私は見事にヤリマンになった。あんなに軽蔑していたのに。
だって一人でお弁当食べていたひとりぼっちの私が、セックスするだけでやさしくしてもらえるんだよ。金ももらえて優しくしてもらえるなんて素晴らしいでしょ。おかしいのかな?女友達少なかったらセックスしかすることないでしょ。他に何をすれば。
お金があっても、したいと思えることがなくなったのが悲しい。稼ぐ意味が分からない。
整形したいヶ所は沢山あるけど、そもそもは並みになれればそれで良かった。二重になったし、歯並びも治したし。上を見たらきりがないけど、不自由はしてないからもうそんなしなくてもいいし。
ブランドものも興味ないし、家賃も4万だし。
普通の生活したいけど、もう普通ってなんだっけ。
今の私は普通なのかな。
確実性がない恋愛にすがるくらいならお金を稼ごう!という考えだったけど、お金なんて月に15万とかあれば足りるよね。
心が空っぽ。誰か殺してくれよ、全然なにしても満たされないよ。
こんなんだからですね、セフレが6年続いて彼氏が6ヶ月続かない理由。
お金あって何かをして満たされるのは一瞬で、だけど向き合わなければいけない現実が常にある。
それに押し潰されそうで、地震いつ来るのかなとかオリンピックでテロは起きるのかな、とかどうしようもないことばかりを考える。
3日後の精神科でなにかが変わることもないのだと諦めながら、1日1日を過ごすのだ。