子どもの内部進学の話しや受験のことを考えれば考えるほど頭の中がこじれ、夢の中でしか息抜きが出来なくなった。身分相応ではない所属にいるからこんなにも息苦しいのだとは思う。
「違う小学校に行くのも良いんじゃない?」
と聞いたら普段は大人しい息子がはっきりした口調で言った。
「みんなと同じ小学校が良い。」と。母親の努力不足だ。とにかく私が周りに合わせて合わせて、自我を無くせば良い。感情も意見も怒りも全てを殺せば良い。PTAも頑張った。理不尽なトラブルにも耐えた。いつまでこれが続くんだろうか。
保育園に朝から晩まで子を預けてメンエスで働いて不倫する人生で良かった。本当に?心の中で戻ってはいけない場所があるから今の所属で頑張っているのでは?そう思うものの楽な道を選んで生きてきたからこそどうすれば良いのかと五里霧中で日々をやり過ごしている。
「預かり保育も使って下さって大丈夫ですから。お母さんのメンタルも大切です。」
娘の幼稚園の担任の先生から声を掛けてもらった。そういえば夏祭りの日大泣きして職員室で休ませてもらったことを思い出す。預かり保育は仕事をしているお母さんなど事情がないと使用出来ない。専業主婦である自分が使う義理はないと思っていたが、休息が必要だと判断してくれたみたいだった。弱りきっている今はその気持ちがとても嬉しかった。
アルコールを飲むと感覚は麻痺するけど、睡眠の質が低下し疲弊するので、アルコールもあまり飲まなくなった。友達と一緒にいる時は飲むし、そういう時間は好きだけど。ストレスで1人でひたすら飲むのはかなり減った。1人で行く狭いけど安くて美味しい居酒屋あるんだけど、そこは1人飲みが多いからそこから仲良くなって2軒目で四ッ谷のスナックに行ったり、飯田橋のゲーセンに行ったりとフットワークは昔のように軽くなった。知らない人との交流は楽しい。何も考えずに飲んで色んな話しをしてその場を楽しんでいれば良い。だけど楽しい時間は続かない。人生そんなもんだって分かっているけど。
大地震や色々思うこともあり、だったら行こうかずっと悩んでいたけど行ったこともない女性用風俗に行くかーとなった。唐突すぎるけど、行動力あるのが自分の好きな場所だったのに子を産んでからその行動力がなくなってきた。直近で起こった嫌な記憶を減らしていくには新しい経験も必要だ。どんどん情報をアップデートして、楽観的に物事を考える必要性がある。
意を決して、女性用風俗のサイトを見た。お金を払うなら若い子だなーと(キモジジイと同じ脳内回路だね)20代で探した。細身で色白で塩顔、この子タイプじゃない?ものは試し、LINEで予約するか、やるなら夏休みで心に余裕がある今だよなと思いお店のLINEに行きたい旨を伝えた。返事はすぐに来て、予約が確定した。何事も勢いが大切だ。夏休みの宿題も、早く終わらせれば気持ちが楽である。その原理と一緒で、子どもも早く産んだ。嫌なこと、大変なことほど早く終わらせれば終わらせるほど後が楽だから。
あれよあれよとことは進み、ホテル先入りで待ち合わせをすることになったのだが、セラピストが来るまでの5分がやけに長く感じた。ラブホテルとか何年ぶり?!とホテルの中をくるくる歩き回ったり、デリヘルを利用する男性もきっとこのような経験をしているのだろうかと彼らの気持ちの一部を垣間見ることが出来たような気がする。
短くピンポンと鳴ったので扉を開けた。身長はサイトにある通り175センチはあり細身、20代半ばくらいだろうなと思ったものの顔は年齢より疲れている感じは若干あった。モザイクが少しかかっているのでネット上では雰囲気しか分からなかったものの、凄いタイプとまではいかないものの、パネマジでもなかった。きっと風俗というのはこんなものなのだろう。
「どうぞどうぞ、こちらにスリッパ置いてあるので良かったら使って下さい。」
私は近所のおばさんか?いやいや、みんなこんな会話を一言二言と交わしているのだろうか。
「えー可愛い、細ーい。」
セラピストのサービストークと共にホテルの奥のベッドのある部屋へと向かった。その言葉を言葉として受け取るほど、私はもう若くはなくなっていた。
大きなカバンからバインダーに挟まったカウンセリングシートを渡されて、記入を始める。
NGプレイや好きなプレイなどを初対面の男性に書いて渡すのである。自分が20代前半の時はネットで知り合った人と会ってすぐにホテルに行ったり家に行ったりしていた。何も思わなかったし、感じなかった。クラブで知り合った人とも酔ってホテルに行ったり家に行ったりしていた記憶がある。それでもブランクが長いのであの頃の記憶を蘇らせるのが容易くなかった。結婚して7年、不貞は1回もなかった。付き合って8年弱だけど付き合っていた頃も浮気がなかったので夫以外の人とホテルに行くのはかなり久々だ。
不倫しなかったのは特別好きだったからではない。夫がハイスペだからその生活を守りたかったのと、子ども2人の育児があまりに大変すぎたから。定型でも未就学児の年が近い子たちの育児はキツく、他のことに意識がいかなかった。この人生がずっと続くのかと落胆する自身の未熟さに落胆しながらもここまで生きてきた。
風俗は不貞ではない。後ろめたい気持ちがないのは良いことだな、と思い私はこの2時間休憩5000円のラブホテルに入ったのだった。とりあえず面倒なことは嫌なのでノーマルプレイで良いことを伝えた。
テンプレ通りの甘い言葉にむず痒さを感じながらも、彼は仕事を頑張っているだけだしと風呂に向かう。男の人の前で脱ぐのは久々だけど産後と痩せたのでEカップからBカップにダウンした胸を見せるのが嫌だった。他人だし良いか。ナンみたいに垂れてるわけでもあるまい。セラピストも仕事だから貧乳おっつーとか言わないだろう。私はノンデリ男が苦手だ。自分がチンコ小さいと言われたらキレるだろうに自分は何を言っても良いと思っている節があるのだから。
目の前にいるこのセラピストはそんなことなく、リップサービスをしながらシャワーを一緒に浴び、風呂に入った。そこから他愛ない会話を交わして、タオルを巻き風呂を出た。履いてたパンツの糸がほつれているのを見て、この子はセラピストだけど普通のどこにでもいる男の子なのだろうとも思う。
ベッドに座り、3種類のオイルから好きな香りのオイルを選んでマッサージをしてもらった。オイルは特にベタつくことなく、部屋も暗く室内は過ごしやすかった。
で、マッサージをしてもらいながらも違和感を感じた。チンコが当たってる?!それは良いけど(良くない)セラピストは下着を着けてマッサージするんじゃないの…?聞きたいけど雰囲気壊すのも嫌なので何も言わずに一通りのことはした。
おもちゃはあまり気持ちよくなかった。痛い。てか腹を押さえるな、まじで下腹部が痛い。それやめてと言っても気持ちよくなっていいんだよと会話がまるで通じないのでイったふりをするとそのおもちゃは抜かれた。良かった。
内緒だからね、と言われたので何かと思ったらゴムの袋を開けていた。え、ちょっと待て女性用風俗って本番ないよね?私は挿入はそこまで好きではない。性病と妊娠が怖いから。女は挿入を求めていると思ってるなら間違いだぜ兄ちゃん。その辺りのさじ加減はこれから先の長い人生で学んでいくと思うけど。お金払っているのに白けた空気になるのが嫌で、チンコを握らされたのでそのチンコをしごいた。それが正解だと思ったからだ。私は良くも悪くも、日本人特有の同調圧力を大切にする性格だと思う。チンコを握らされたならしごく、これこそはマナーだと思っていた。そういえば手コキエステで10年以上前に少しだけ働いていた。1人の客に対して女の子が8人ついたり、客が作った脚本を朗読させられたり、濃い時間だった。3pコースで一緒だったときに、源氏名ハツネちゃんと広いラブホテルに入った。色が白くぽっちゃりしていて男受けしそうな子だった。送迎の車の中で宜しくね、と人懐っこい笑顔で笑いかけてくれた。お店を辞めることが決まっても、昼職が決まったからと言うといつでも戻って来てねと内勤から優しいLINEをもらい、円満に終わったので決して悪い記憶ではない。
そんなことを思っていると思ったよりも早くイってくれて、多すぎない量の精子が出た。早く手を洗いたい気持ちを抑え、近くにあったティッシュを何枚か渡した。利己主義な自分がそのような行動を取ったのも、子を産み母性が生まれたからであって、年下の男の子には母親のように優しく出来るのだろう。
そこからはピロートークなるものをいくつか交わした。コロナ禍で大学の入学式がなかったことの理不尽さ、サークルも何も出来なかったこと、大学受験で第一志望は落ちたものの滑り止めの大学には受かり、家庭教師のバイトをしていたこと、店年齢より実年齢の方が若いけどナメられたくないから早く年をとりたいことも。真偽はどうであれ、どちらかと言うとそっちの方が面白みがあった。
90分終わった後は後ろめたさもなく、人生経験が増えて良かったと不思議とポジティブだった。色んな人と関わり、自分の思想を薄めて前向きに生きたい。そういえば女性用風俗に行ってから嫌なことをあまり思い出さなくなった。エロい記憶の方が強いからだ。嫌なことがあったら、その嫌なことを越える濃い出来事を経験し、自身をアップデートするしかない。人生の肥やしを見つけるしかない。ネガティブな考え方のクセをなくしたい。親でもある自分は、子どもにそのことを教えることが出来るのだろうか。
幼児教育に課金するように、ハイスペ夫との結婚生活を円満に進めるために、若い男を買うことが肯定され、公言出来る世の中が来ることを切に願っている。