宗教の終焉

教祖が死んだ。平成はやっぱり終わったのだと思った。その時は突然来る。地震もそうだった。3.11の時に新宿のゲーセンでプリ撮っていたら地面が揺れたことを思い出す。まだ大学生の頃だった。プリクラ落書きしようよーと私が言ったのを正気か?と言いたげな友達は危ないから逃げようと手を取ってゲーセンを後にした。全身鏡が後ろでガシャーンと割れたのが分かった。友達通っていた高校で手作りの大きなおにぎりを食べながら、校長室に泊まって眠るという貴重な経験をした。

あれから10年は経ったし気づいたら2児の母親になっている。戸建てで子供2人を育てる専業主婦になる将来を考えたことがなかった。

バイリンガルスクールが〜インターナショナルスクールで〜リトミック教室が〜って何語か私分からない〜♪偏差値30音頭からは抜け出せない。子供を産んでも私は私のままで根本的には一生変わらない。ずっと飲み屋で働いて家賃4万の狭い家にこもってアプリで男漁る人生、それでも別に良かった。不思議なことに選択一つで人生はがらっと変わった。高収入で学歴良いし、とか冷めた口調で言いながらも夢の中で夫は私に加害してくる男を無言で屋上から落としてくれた。それが愛情だと思ったからずっと気付けば一緒にいた。夢の中に出てくる人は印象に残ってる好きな人ばかり。でもいつも自分から連絡するだけで相手は求めてくれない、そうショックを受けている自分がいる夢を見て私は結婚相手が夫で良かったと思った。夫は私が既読無視したら50通とか平気で送ってくる人だから、追うよりも追われた方が幸せだったんだなって。

生まれ変わったら共学に行って晴々した青春を送りたい。自由な校風の国立にずっと憧れていた。同級生に恋したり文化祭や合唱コンクールを夢の中の自分は謳歌してる。中学の頃から精神が壊れ始めてネットの世界にのめり込んで、バーチャルの世界は裏切らなかった。女子校の校則厳しい校風や自分の中学受験失敗の挫折を受け入れられなくて外に居場所を作らなきゃ、ずっとそう思ってた。小学校の頃の地元の友達と集まるようになってからは楽しかった。中学受験組ばっかで、男子校の子とも仲良くて家で集まって氷結あるよーとか親が共働きで寂しいとかみんな言っていたりで懐かしい。でも男の子はいつでも可愛い子が好きで、世の中には可愛くて頭も良い子が沢山いて、自分はいつも女芸人枠にしか入れなくて。夢の中で抱きしめてくれた男の子はそんな自分にいつでも優しくしてくれた。女芸人扱いしかされない自分に何故?物好きか?その優しさを受け入れる自己肯定感がなくてDV男に依存するしかなかったことだけが心残りで、また夢の中で青春をやり直す。どれだけ巻き戻ししたらいいのだろう。

今日もひたすら眠る、夢の中で現実逃避したり昔に戻ったり理想を描いたり自由になんだって出来てしまう。

兄は中学の頃教祖の息子と同級生だった。この子は東大理Ⅲに絶対行くのと叫んでた母親を見ながら早くこの家を出たいと思ってた頃を思い出す。教祖の前妻の毒親っぷりと全く変わらないじゃないか、違うのは最終学歴くらいか。貴方が馬鹿にしてた○○君は現役で東大に行った!なのに貴方は!そう叫ぶ母親を思い出す。進学校に行って落ちこぼれた兄が期末テストの日に家にこもってテストを休んだ日の電話の会話が忘れられない。39度の熱が出ても、這ってでも学校に来てテストを受けるんです!って。勉強が出来るのは幸せなのだろうか。おばあちゃんの親戚もみんな喜んでたけど。出来てしまうからこそ期待されて重荷になるという事実。私はそんな子育てしたくない。なんて言いながら、自分が育ったようにしか子供は育てられないと言う言葉を聞いてぞっとする。結婚願望なくて子供はもちろんいない兄だけど母親は兄の東大受験失敗してからずっと放任だった私に急について回って早く子供を産めとずっと言われてきた。息子と娘が生まれて毎回会うたびにこの学校は絶対受けろ、こんなレベルが低い学校はあり得ない、この子たちなら大丈夫、あなたには似てないから。呪いの言葉だけ残して満足気に帰っていく。親だし色んな性格の人がいるしという気持ちと関わりたくないという気持ちがいつも錯乱している。産前産後の9ヶ月は会わないようにしていたけど親戚付き合いもわりとあるから全く会わないわけにはいかなくて完璧に関わりは断てない。教祖が死んだように、私も親と死別した時に本当の自分自身の人生を取り戻せるのだろうか。公園で知り合った子供やお母さん。また遊んでねと抱きしめてくれる子供。隣人愛の意味をこういった場所で知るとは思わなかった。私は人生180度変わったのだろうか。

改宗したきょう子さんは、キリスト教の、自分を愛するように隣人を愛しなさいと言う教えをどう思うのだろう。自分の息子に3000万貸したのも、毒親と言われる育て方をしてしまった償いでもあり、そして今でも大切な子供なのではないのだろうか。高校入試の際に聖書だけ持っていったエピソードをYouTubeで見て、宗教の矛盾を感じながらも色々考えた彼女の思想の深さを知った。私は流されるがまま生きてきて信念も何もなく、みんな打つからワクチン打つか、そんな感じの人生。弱い頭で物事考えるのも苦手だし疲れるから。そんな人生と決別出来る日が来るのを見たいような見たくないような混沌とした気持ちがいつも、いつだって自分の頭の中にある。